渡辺美輪の川柳入門

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zoom RSS 川柳の笑いについて

<<   作成日時 : 2010/10/31 19:24   >>

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一般に「笑える川柳」というと、たいていはサラリーマン川柳やマスコミ川柳、一部の時事川柳のような「おもしろおかしい川柳」というふうに取られがちです。
しかし川柳において「笑い」ほど難しいものはありません。

私と一緒に『時実新子 川柳の学校』を書いた杉山昌善さんの持論は、こうです。
川柳における笑いとは、チャップリンの笑いである
なるほど、と思いました。
喜劇王チャーリー・チャップリン。映画ファンのみならず、この名前を知らない人はいないでしょう。私も子供の頃から、彼の無声映画が大好きでした。

たとえば「モダン・タイムズ」。
おっちょこちょいで、のろまで、何をやっても失敗ばかり。世間から見たら「役立たず」と思われても仕方のないチャップリン演じる青年は、しかし「愛」だけは人一倍持っています。小さいもの、弱いもの、美しいもの、人間に対する愛。でも、毎日毎日オートメーションの工場で働くうちに、だんだん精神を病んでしまいます。
非人間的で機械的で、効率ばかりを追う社会。貧しくかよわい少女は、社会から父親を奪われ、家を奪われ、妹たちと引き離され施設に入れられるのを嫌がって逃亡する。
そんな二人が出会い、惹かれ合う。もう、言葉は要りません。
世間から追われても、仕事を失っても、二人一緒ならそれだけでいい。「笑っておくれ」と少女と見つめ合い、腕を組んで歩くラストシーンは、涙があふれました。



たとえば「街の灯」。
美しい盲目の花売りの少女に恋をしたチャーリー。彼を富豪と誤解した少女の目の手術のために、チャーリーは必死で働きます。しかし不器用でおっちょこちょいのチャーリーは失敗だらけ。あるとき、運よく酔っ払いの富豪を助けたことからもらったお金を彼女に渡します。しかし富豪は、酔ったときの記憶がまるでなく、チャーリーを泥棒扱い。結局チャーリーは無実の罪で監獄に。その間に少女は手術が成功し、目が見えるようになります。
出所したチャーリーが花屋の前を通りますが、彼女はまったく彼に気付きません。彼女は自分の恩人を美男で気まぐれな大富豪なのだと思い込んでいたのです。
彼女は彼をあわれな物乞いだと思い、捨てる寸前の花をあげようとします。
チャーリーは自分の正体を知られまいとしますが、手が触れた瞬間彼女は悟ります。
「あなたでしたの・・・?」
チャーリーの顔に浮かんだ複雑な笑み。そして少女の複雑な表情。
これはハッピーエンドなのか、それとも・・・・。


チャップリンの笑い。それはそのまま、川柳の笑いと重なる気がします。
人間への、弱いもの、はかないものへの愛。それがベースにあっての笑い。それはほろ苦くかなしくせつない美しさに満ちています。
決して一過性で終わらない、ただのぼやきやくすぐりや他人への誹謗中傷で終わらない、人間存在そのものの「かなしさ」がベースにある笑い。ペーソスのある笑い、それこそが川柳の求める笑いなのです。

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